アンナマリアにおけるポストモダン あるいはモードの永久革命

 「アンナマリア」の頁の中の作品には、プラスチック製の大粒のビーズの把手や丸い玉がファスナーの持手として愛らしく付いている。伸びやかな機能美にこうした女性らしい装飾を施したアンナマリアのデザインは、機能性の下にデザインを従属させる近代に対するアンチテーゼとしてのポストモダンと呼ばれる芸術思潮にあることは否めないであろう。

 マンジャメリの顧客は、デンマークのマルグレーテ女王、女優のブリジット・バルドー、リズ・テイラーと多彩である。しかし、忘れてならないのは、世界の様々な場所に生き、働く数多くの無名の女性達に愛用されたという事実である。

 かかる一群の女性は、時あたかも '70 年を前後する叛乱の季節に登場して以来モードの転換を推し進め、ファッションの主流をオート・クチュールからプレタポルテへと変えていくことになる。同時にファッションの最先端の地は、パリからミラノへと移っていく。特にイタリア北東部や中部における工房の職人の手仕事で作られるハンドバッグは、大量生産の画一的なデザインに飽きつつあった世界の人々に支持されていった。'70年代以降は日本にも紹介され、マンジャメリの静かなブームを全国に巻き起こしながら現在に至る。

 モードの永久革命のひとつのエポックとして、最も秀逸なデザインを彼女の愛称に因み「アンナ」の名前でお贈りし、現代女性の多様なライフスタイルをサポートする一助となればと願っている。

2004年10月1日

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